太陽会について 無料低額診療事業 ~社会福祉法人の地域における公益的な取組

2020年7月7日(火)
無料低額診療事業とは、生活困難な方が経済的な理由によって、必要な医療サービスを受ける機会を制限されることのないよう、社会福祉法に基づき、無料または低額な料金で診療を行う社会福祉事業です。
社会福祉法人太陽会 安房地域医療センター(以下、当院)は、2012年11月19日から無料低額診療事業を開始しました。安房地域における2次救急病院である当院は、急性期からリハビリテーション、健診事業まで、地域のニーズに応える地域密着型の病院です。

利用について

この制度を利用できるのは、当院で治療を受ける患者さまで、経済的な問題から医療費の支払いが困難な方です。無料低額診療の利用については、所得制限や証明書類の提出などの条件があり、審査の上決定されますが、まずは、医療ソーシャルワーカーが相談をお受けしています。

取組について

医療ソーシャルワーカーは、当院内の安房地域総合相談センターに所属しています。同相談センターの香田センター長は、無料低額診療の取組について、「経済的理由から、治療をあきらめていた患者さまのご相談を伺い、お話の内容により、まず、公的な医療費助成制度につながるかを検討し、適用が可能な場合はその手続きをお勧めすることになります。公的制度につながらない方には、当院の無料・低額診療事業が利用可能かどうかを判断します。その意味では、地域のセーフティネットの機能を担っているといえます。」と語り、「当院では、医療ソーシャルワーカーが全ケースを当事者と面接し、社会福祉の観点からきめ細かくアセスメントしています。

「当院では、医療ソーシャルワーカーが全ケースを当事者と面接し、社会福祉の観点からきめ細かくアセスメントしています。月2回、アセスメントした内容を、病院経営陣の参加する判定会でレビューし、事業適用の適否を決定しています。」「安房地域の特性として、人口減少、高齢化による独居・老老世帯の増加、認知症の問題等々の中で貧困化が厳しさを増す社会的な構造も否定できません。そのため、当院の無料低額診療事業は、地域的な問題として、対象を安房地域の住民に限定し、地域外から医療費を払えない患者さまの無料低額診療事業を目的とする転院は受けておりません。」と続け、地域福祉に対する意義を説明しています。

「地域には、貧困が原因で医療を受けられずに悩み、本当に困っている人がいます。経済的な問題に、私たち医療ソーシャルワーカーが関わることで、助かる道が拓けるのです。」「例えば、高額療養費や限度額等の基本的な医療費の仕組みを説明しただけで安心され、治療を続ける方も多くいらっしゃいました。公的な制度や仕組みを理解していないばかりに、多くの患者さまが医療から遠ざかっていたのです。たとえ公的な制度につながらなくても、当院の無料低額診療事業によって、体を治すことができます。治療終了後、仕事に就くことができて、無料低額診療事業を“卒業”する方もおられます。」

無料低額診療事業は、当院「生活サポートセンター」が窓口となって相談を受けています。「入院や外来の患者さまからの相談が、無料低額診療事業に直接結びつかなくても、医療費の不安を抱えた患者さま・ご家族のための相談窓口があることの意義は大きく、医療ソーシャルワーカーに相談することで、他の社会福祉制度の利用につながるケースや、相談支援から見えてくる地域課題を、行政と共有し、連携の中で課題解決につながる機会も生まれました。」(香田センター長)

社会福祉法人太陽会は、無料低額診療事業を通して、地域における公益的な課題に向き合い続けています。

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