ページの先頭です

ご利用者と一緒に作りたい~自給自足を楽しむ~

ご利用者と一緒に作りたい~自給自足を楽しむ~

2022年7月6日(水)

2022年6月29日(木)

 めぐみの里の中庭・菜園では、さまざまな夏野菜がご利用者の手で育てられ、収穫され、ご利用者の食膳に届ける取組が行われています。土の恵みを味わう喜びに、笑顔の輪が広がります。

 この日は、ナスとプチトマトが収穫されました。暑い日差しには麦わら帽子。キュウリ、枝豆、ゴーヤ、キャベツなどの育ち具合も見て回ります。

昔はこうやって食べていた

 5月のある日。久しぶりに土に触れ、「土は気持ちが良い。」と、おっしゃるご利用者。苗を植えてくださいました。

 6月のある日、初物を収穫・試食されたご利用者からは、「キュウリは、“生”で丸かじりが一番おいしい。昔は、よくこうやって食べていたよ。」と、喜びの声が多数聞かれました。

きっかけは、多職種の集う会議から

 めぐみの里では、毎月、ご利用者にいつまでもおいしく食事を食べていただくことを目的に、多職種(看護師、栄養士、介護福祉士、介護支援専門員、作業療法士、調理員など)で集まり、ご利用者の食事摂取状況の確認と情報の共有を行い、課題について話し合い(経口維持会議)を行っています。


 5月の会議で、ご利用者と一緒に育てた野菜を食事に出せたら、との提案に、皆の賛同が集まりました。

 介護支援専門員の小谷副主任は、めぐみの里のご利用者の多くは、地域柄、畑仕事に従事され、野菜作りになじみのある方がとても多いことにふれ、「コロナ禍で2年以上も外出が困難な状況が続くなか、屋外での活動は、ご利用者のQOL(Quality Of Life 「生活の質」)の向上につながると思われます。」と語り、皆で話し合って、「ご利用者の育てた野菜を給食として提供することで、ご利用者のやる気や食欲増進につなげたい。」と、目標が決まりました。

持続可能な取り組みに

 実施にあたっては、「お金をかけずに協力して行いたい。」と、方針を決めて、野菜を植えるコンテナは、中古の発泡スチロールの箱を分けていただく、職員は自宅から苗や土などを持ち寄る、牛糞肥料や米ぬかは無料のものをいただくなど、さまざまな方の力を借りながら、工夫してスタートしました。

 苗の購入には、太陽会の「ホスピタリティマインド」の枠組みを活用しました。この枠組みは、「常に愛とホスピタリティの心を大切にする」という太陽会の使命に基づき創設されたものです。職員がひらめきを活かして能動的に動けるように、2,000円までの決裁権を委譲することで、ご利用者・ご家族様が心から喜んでいただくサービスの質向上に努めています。

 肥料は、栄養士のチームで検討して、持参した生ごみ処理機を使って厨房の野菜皮等を乾燥させ、卵の殻や米ぬか・もみ殻などを混ぜて有機肥料を作りました。

 追肥として活用したところ、驚くほどよく野菜が成長しています。

 厨房の生ごみを活用し、肥料として使うことでSDGsにもつなげたい、と、メンバーは意欲を語り、施設内のいろいろな人たちにも関心が広がっています。

旬の味覚を自給自足で

 リハビリの観点から、高齢の方が昔やっていたことを思い出して楽しむことの大切さを語る、作業療法士の三浦主任は、いろいろな職員の方々に共感の輪を広げていきたいと、抱負を語っています。

 栄養士チームの「その味を楽しんでいただきたい」という願いから、キュウリは生で丸かじり、ピーマンは炒め物、ナスはショウガ醤油のお浸しになりました。
 「今度は、ピザはどうかと思っています。」と、新メニューの検討も進められています。

 ご利用者と職員の、自給自足の取り組みは、これから夏本番を迎えます。